溝口という存在

男が肩を抱き寄せたくなるような男
いったい舞台上で何人が溝口にそうしたんだろう〜という興味が湧いて2回目の時は数えようとした。
できなかったけど・・・。記憶も自信はないけどとにかく、鶴川と柏木だけでなく、学校に来た軍人やら金閣寺見学の米兵やら複数です。たぶん片手では足りない。


そうされるのに最適な、細い剛くんの肩と高すぎない背丈。この役に、それで選ばれた? いえ。そんなはずはない。
でもポイントのひとつにはなったのかな。
もしピュアで繊細な声で選ばれたのなら嬉しいな。
ひとは本を読むときって黙読でもたぶん自分の地声をベースにして読むという気がするけど、わたしの声は高くないしピュアでもない。金閣寺の舞台に出ることがわかったあとで読んだ時は剛くんの声が頭の中を自在に通っていった。この予習のお陰で最初からすっとなじんだ気がする。


ネタバレになるけど、一人称で語られる原作の朗読を、はじめは男女構わず読み、次に前半は柏木役の方、後半は鶴川役の方が主にしていたと思う。最初以外は照明も当たらずに名のある役者さんが舞台上にいて(いないものとして)語っているのは不思議な感じだった。
そういう演出に意味があるんだろうけど違和感はまだ拭えない。ただし、出ずっぱりの剛くんはひとりで立っていなかった、だれかが側にいてくれたということにはなるのだ。


溝口が自意識のすごく高い人であること、友だちは溝口を好きだったこと、父性を刺激する存在だといつも剛くんを見て思っていたけどその点で役としっかりリンクした。
金閣寺のことを思い出してはいろいろ考えてしまう。今週末の長野へ行けるひとがうらやましいです。剛くんのお誕生日まであと4日。